安達太良山-2010- 82010年11月28日 20時28分47秒

 "マグカップ"と"鈴"を手にした事で、今回の安達太良登山の目的は果たしたのだが、実はもう一つやりたい事があったのである。
それは前回の安達太良登山で成し得なかった、"鉄山登頂"と数ある安達太良ルートでもマイナーな"僧悟台ルート"の走破なのである。
しかし、今日の安達太良、雨混じりの風が吹き荒れる最悪の空模様である。
特に、山頂へ続く「牛の背」、「馬の背」と呼ばれる尾根筋は強風で有名な場所なのである。
前回は風の無い好天に恵まれ、その強風を感じる事は無かったが、今日は間違いなく吹き荒れているだろう。
「行くか」、「帰るか」・・・・。 うーん。登りながら考えよう。(アホか)
10時10分、くろがね小屋を後にする。
紅葉の美しいこの時期、休日であることも手伝い登山者は多いのだろうが、この天気に登頂を諦めて降りてくる人達の列が、切れ目無く続いて来る。
そんな下りの列に出会う度、脇に避けて列が行き過ぎるのを待つ時間が長くなる。
多くの登山者の踏み跡に生コン状にぬかるんだ道を登り詰め、峰の辻に着いたのは10時39分である。
写真は昨年の物で、今回は風雨とも強くカメラを出す間も無く、到着時刻をメモしただけでこの場所を離れた。
次に目指すのは「牛の背」である。
この天気でも"頂"を目指す人はいたようで、全身ずぶ濡れ状態で降りて来る。
「こりゃー駄目だな。」と内心思いつつ、反面、足は先を急ごうとする。
10時55分、"牛の背"に到着。
(この写真も昨年の物です。)
霧というか、雲の中に居るといった方が良いのだろう。乳白の霞に安達太良の頂はもちろん、5m先も見えない。
確かに風が強い。
強弱織り交ぜた風が断続的に尾根を越して吹き下りて来る。
取敢えず、写真の案内板の下に身を寄せ、雨具用に準備していたウォームアップウェアのズボンを穿く事にした。
この場所には先客が居て、私が着いた時、その方はちょうどザックから雨具を出していた所だった。
雨具を身に着け身支度を済ませてその方は、私の予想した下りではなく、なんと強風の尾根に登って行ったのである。
これを見て私の気持は決まった。
「鉄山へ行こう。」
一年ぶりの"牛の背"は尾根道であることから強風から身を守ってくれる物などあろうはずもなく、唸りを上げて身体に当たる風には、 立ち止まり、身体を低くして行き過ぎるの待つのみである。
西に広がる沼の平の荒涼とした景色も全く見る事も出来ず、強風に煽られながら鉄山に続く初めての尾根道を歩き始めた。
矢筈森のピーク(1,673m)を越えると"馬の背"と呼ばれる尾根に入る。確かに牛の背よりは細い"背"である。
足元に転がる黒く煤けた岩の欠片に、この山が火山である事を思い出す。
雨とも霧ともつかぬものに全身ずぶ濡れとなったが、風が吹くほどに、顔が濡れる程に、気持はおかしな高揚感に満ち溢れてくる。
尾根とは名ばかりの、展望もない道を歩きながら段々と楽しくなってくるのは何故だろう。
一人笑いそうになる。
ゴツゴツした岩が重なり合う、鉄山の南壁が見えてきた。
持参した1/25000の地図には鉄山の頂は破線上に記されているが、 実際の道は上の写真の岩の重なりを登り切った後、一度西側へ下り、登り返す迂回路となっていた。
写真は鉄山西壁に強風にもめげず咲いていた「シラタマノミ」である。(たぶん)
11時25分、鉄山(1709m)山頂に到着する。
箕輪方面から来たという年配のグループに、くろがね小屋へのルートを尋ねられた。
聞けば、山頂を過ぎ直進したがその先はかなりの急坂であり躊躇していたとの事だった。
晴れていれば見落とす事の無いルートも、今日のような深い雲の中では地図が頼りとなるが、彼らも同じ地図を持参していたのだろうか。
山頂は風雨激しく、カメラを出す間も無く次の目的地の鉄山非難小屋を目指す事とした。
頂上と思った石積に、「安達太良神社」と彫った石の表札のようなものが立て掛けてあった、本当にそこが鉄山山頂だったのだろうか・・。
11時37分、鉄山非難小屋に到着。
入口の赤い扉が印象的だが、何やら男性二人がその扉の補修中。
中は満員との事で、小屋の東側に回り風を避けて小休止する。

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